【政を為すは人に在り】と訓読されまして、政治を為すには有能な人材が必要であるということを言った四字熟語です。『中庸』にでています。
春秋時代魯の哀公(B.C.494~B.C.476)が孔子に政治について質問しました。少し長文ですが読んでください。孔子の答えです。『中庸』第7章(岩波文庫/『大学・中庸』の章分けによります)を抜粋しました。
哀公問政。子曰、
哀公(アイコウ)政(まつりごと)を問う。子曰く、
魯の哀公が政治について尋ねました。孔子が答えました。
文武之政、布在方策。
文武の政、布(し)いて方策に在り、
文王・武王の政治は木簡・竹簡に記録されています。
(でも理想の政治を行うには記録を学ぶだけでは不十分です)
其人存、則其政与、
その人存すれば則ちその政挙がり、
しかるべき人が存在すれば、その政治も成果が上がりますが、
其人亡、則其政息。
その人亡ずれば即ちその政息(や)む。
しかるべき人がいなくなれば、その政治も滅びてしまいます。
人道敏政、地道敏樹。
人道は政に敏やか(すみやか)に、地道(チドウ)は樹(ジュ)に敏やかなり。
人の働きによって速やかに政治が行われます。それはちょうど地の働きによって
樹木が発育するのと同じであります。
夫政也者、蒲蘆也。
それ政なる者は、蒲盧(ホロ)なり。
政治というものは、蒲(がま)や盧(あし)であります。
(蒲や蘆は水辺であれば瞬く間に成長するように、
政治も優れた人物を得れば速やかに行われます。)
故為政在人、
故に政を為すは人に在り、
そこで、政治を行なうには立派な人物が必要です。
取人以身、
人を取るは身をもってし、
そして、立派な人材を採用するには、君主自身が立派であるべきです。
修身以道、
身を修むるは道をもって6し、
君主がその身を修めるには正しい道によるべきであり
修道以仁。
道を修むるは仁をもってす。
正しい道を修めるには仁の徳に従うべきである。