百の孔(あな)、千の切り傷、という意味から欠点や短所が数多くあることを表します。
儒教・仏教・道教、三教鼎立を脱却して、それまで訓詁注釈の学へ傾いていた儒家が、本来の姿に立ち返ることを強く主張したのが韓愈(768~824)です。
韓愈の「孟尚書に与ふるの書」の中に【百孔千瘡】が出ています。
漢氏已來、群儒區區修補、
漢氏已来(イライ)、群儒区区として修補すれども、
漢以降、多くの儒学者が、こまごまと補い繕(つくろ)ってきたが、
百孔千瘡、隨亂隨失
百孔千瘡、随(したが)つて乱れ随(したが)つて失う。
もはや百の孔、千の傷のために正道は乱れ失われ、
其危如一髮引千鈞。
其の危ふきこと一髪の千鈞を引くが如し。
その(滅びる)危険さといったら、一本の髪の毛で千鈞の重い物を引くようなもの。