小鳥が楽しげに歌い、花は美しく咲いている、というのがありのままの世界であるように、人が衰えていくのも自然の成り行きなのだ、と菜根譚』後集第50條は言っています。
髪落歯疎、
髪(かみ)落(お)ち歯(は)疎(まば)らにして、
髪は抜けて薄くなり、歯も抜けてまばらになったら、
任幻形之彫謝、
幻形(ゲンケイ)の彫謝(チョウシャ)するに任(まか)せ、
(それは本来)幻のような肉体であるから、自然に衰えるのにまかせ、
鳥吟花咲、
鳥(とり)吟(ギン)じて花(はな)咲(さ)きて、
小鳥がさえずり、花が咲けば、
識自性之真如。
自性(ジショウ)の真如(シンニョ)を識(し)る。
(こうした)ありのままの世界が、すべて真実であることが解かる。