汗が体中からだらだらとしたたり落ちる様子を言います。
【流汗:リュウカン】は、汗を流すことです。
【淋漓:リンリ】は、【淋】も【漓】も水や血や汗がしたたり落ちる意味で、「したたる」を強調した言葉です。尚且つ、リン、リと頭の子音が同じことから「双声:ソウセイ」の擬態語です。
結局【流汗淋漓】は汗がたらたら流れること、を表す四字熟語です。
【流汗淋漓】そのままの形では、中国古典に見つけられませんでしたが、夏目漱石の『自転車日記』に引用がありました。
ちらほら人が立ちどまって見る、にやにや笑って行くものがある、向うの樫の木の下に乳母さんが
小供をつれてロハ台に腰をかけてさっきからしきりに感服して見ている、
何を感服しているのか分らない、おおかた【流汗淋漓】大童(おおわらわ)となって自転車と
奮闘しつつある健気(けなげ)な様子に見とれているのだろう、天涯この好知己(こうちき)を
得る以上は向脛(むこうずね)の二三カ所を擦りむいたって惜しくはないという気になる、
夏目漱石は明治33年(33歳)イギリスに留学しました。
神経衰弱が激しくなり、「下宿の婆さん」にすすめられて気分転換のために自転車の稽古をしました。
そのときの体験を書いた随筆が『自転車日記』だそうです。
【淋漓】を含んだ四字熟語に次のものがあります。
【流血淋漓:リュウケツリンリ】は、流れ出る血がしたたり落ちる様子を言います。
【墨痕淋漓:ボッコンリンリ】は、毛筆の墨のあとが、生き生きとして勢いがあることを表します。