【酒に対して当(まさ)に歌うべし】と訓読みされまして、酒を前にしたら歌うしかないでしょ、というような意味です。
曹操(155年~220年)『短歌行』の一句目が【對酒當歌】です。
4言×32句から構成されています。4句ごとに韻がまとまっていてそれが8つの段落に分かれています。
詩作にすぐれ息子の曹丕(ソウヒ:長男)、曹植(ソウチ:三男)とともに「三曹」といわれます。
1) 對酒當歌
酒に対して当(まさ)に歌うべし、
酒を飲んで、歌おうぜ。
2) 人生幾何
人生幾何(いくばく)ぞ
人生、どれほどのものか。
3) 譬如朝露
譬(たと)えば朝露の如(ごと)し
朝露のように儚いものだ。
4) 去日苦多
去る日は苦(はなは)だ多し
日はどんどん過ぎていく。
5) 慨當以慷
慨(ガイ)して当(まさ)に以(もっ)て慷(コウ)すべし
思いが高ぶり、腹が立つ。
6) 幽思難忘
幽思(ユウシ)忘れ難(がた)し
憂いの気持ちは忘れがたく。
7) 何以解憂
何を以てか憂いを解かん
いかにして憂いを消そうか。
8) 唯有杜康
唯(た)だ杜康(トコウ)有るのみ
飲むしかないだろう。
8句目の【杜康】は、周の時代初めて酒を作ったとされ酒の神様と言われています。
「杜氏」の語源という説もあります。ここでは酒のことを言います。