薄化粧にしても厚化粧にしても、どちらも素晴らしい、と女性の美しさを讃美しつつ、西湖のすばらしさを、西施の美と比べて詠った、詩の中の言葉です。
【淡粧】は、うすい化粧です。【濃抹】は、濃い化粧のことを言います。
作者は、北宋の詩人:蘇軾(ソショク。1036年~1101年)です。字は子瞻(シセン)。号は東坡(トウバ)。
三蘇の一で、父である蘇洵(ソジュン)の老蘇、弟の蘇轍(ソテツ)の小蘇に対して、本人蘇軾は大蘇といわれています。
詩の題名は、『飮湖上初晴後雨:湖上に飮み 初め晴れるも 後に雨ふる』です。
1073年、杭州の知事の時、西湖に舟遊びしたときの作です。蘇軾37歳のときでした。
水光瀲灧晴方好、
水光 瀲灧(レンエン)として 晴れて方(まさ)に好く、
水と光が揺らめいて輝く、晴れた時こそ美しい、
山色空濛雨亦奇。
山色 空濛(クウモウ)として 雨も亦た奇なり。
山の姿は朦朧(モウロウ)と煙る雨の日もまた格別だ。
欲把西湖比西子、
西湖を 把(も)って 西子と比せんと欲せば、
西湖を西施に比べてみるならば、
淡粧濃抹總相宜。
淡粧 濃抹 總(すべ)て相(あ)ひ宜(よろ)し。
薄化粧にしても厚化粧にしても、どちらも素晴らしい。