【得意の事多し】と訓読みされまして、何事もうまいこといっている状態を言います。こんな時こそ油断するな、と佐藤一斎先生は、暗に仄めかしています。
『言志耋録』33條を出典としています。
得意事多、失意事少、
得意の事多く、失意の事少なければ、
(平生、)得意のことが多く、失意の事が少なければ、
其人減知慮。可謂不幸矣。
其の人知慮を減ず。不幸と謂う可し。
真剣に考えることが無いから思慮分別がなくなり、(實に)不幸というべきである。
得意事少、失意事多、
得意の事が少なく失意のことが多ければ、
得意のことが少なく、失意のことが多ければ、
其人長知慮。可謂幸矣。
其の人、知慮を長ず。幸と謂う可し。
まずいことを取り除こうとして色々考えるから、智慧や思慮が増えてゆく。
却って幸いといってよいであろう。