【酒の困(みだ)れを爲さず】と訓読みされまして、酒は飲んでも、飲みすぎて乱れることはしない、という
意味です。『論語』子罕(シカン)篇にある言葉です。
【酒の困れを爲さず】を含んでいる章は、孔子の謙遜の言葉を並べた章となっています。
郷黨篇に【酒は量無し、乱に及ばず : 酒はなんぼでも飲むが、乱れて人に迷惑をかけることはしない】と、言うのと相応じるものです。
子曰、出則事公卿、
子曰く、出(いで)ては則(すなわ)ち公卿に事(つか)え、
孔子が言います、朝廷に出ては公や卿の身分である上官に奉仕し、
入則事父兄。
入りては則ち父兄に事う。
家へ帰っては父や兄によくつかえ、
喪事不敢不勉。
喪の事は敢て勉めずんばあらず。
葬儀や服喪のことは誠意を尽くして懸命にやり
不爲酒困。
酒の困(みだれ)を為さず。
酒は飲んでも、飲みすぎて乱れることはしない、
何有於我哉。
何か我に有らんや。
これくらいがわたしの取り柄で、これ以外何があろうか。