【人生 幾何(いくばく)ぞ】と訓読みされまして、人の命はどれほどのものだろうか、という意味です。
曹操の『短歌行』と題した詩の一句です。
楽府(ガフ)とよばれる形式の詩で、『短歌行』は4句×8 で32句からなる詩です。
前半8句までで、人生のはかなさと、それを飲酒で忘れようと歌ってます。
短歌行 曹操
對酒當歌、 酒に對し 當(まさ)に歌わん、
酒を飲むに、まず歌おう、
人生幾何。 人生 幾何(いくばく)ぞ。
人の命はどれほどか。
譬如朝露、 譬へば朝露の如く、
それはたとえば、朝露のようだ、
去日苦多。 去りし日は苦(はなは)だ多し。
過ぎ去りし日の、なんと多いことか。
慨當以慷、 慨して當(まさ)に以って慷(コウ)すべし、
心は昂ぶれども、
憂思難忘。 憂思(ユウシ)忘れ難(がた)し。
憂いは消えず。
何以解憂、 何を以って憂いを解かん、
どうして憂いを払おうか
唯有杜康。 唯だ杜康(トコウ)有るのみ。
ただ。酒あるのみ。
『杜康』は初めて酒を作った人と言われていまして、杜康とだけ言ってお酒を表します。
お酒を作る人を『杜氏』というのは杜康から、という説もあります。