自分の気に入った者に、特別目を掛け、力を添えて助けることを【贔屓】と言います。
一方にのみ偏って不公平なことを【偏頗】と言います。
類義の二語を重ねることにより、偏って目を掛けることを強調した四字熟語です。
室町中期、桃源瑞仙が著した、「史記」の注釈書である『史記抄』に、
天道は、さらに【贔屓偏頗】はない。
の記述があるそうです。
【贔】は、会意文字で、「罒と大を縦に並べた字を三つ集めた字」が正字で、それが略されて貝三つで
構成された【贔】になり、【贔屓】に用いられました。意味は いかる、ひいき、と『字統』に説明が
ありました。
【屓】は、『字統』によりますと、
会意文字で、尸は人の形。おそらく貝を荷う意味でしょう。
『玉篇:南朝梁の顧野王(コヤオウ)が543年に著した字書』に贔屓(ヒキ)という語があって
「力を作(おこ)すなり」、すなはち奮励する意味であるが、国語では「ひいき」とよみ、好む者に
肩入れする意味に用いる。貝は財物であるが、古くは呪的な力をもつものとされた。
古い用例のない字である。
でした。
【偏】は、亻+扁(音) から作られた形声文字です。
意味は、かたよる です。
【頗】は、頁+皮(音) から作られた形声文字です。
意味は、①すこぶる、はなはだ。②かたよる、よこしま。があります。
『書経』洪範に、無偏無頗:偏(ヘン)無く頗(ハ)無し、が【偏頗】の最初のようです。