戰に敗れ、命乞いをしなければならないような、この上ない辱めを受けることを言います。
春秋時代の末、呉越の抗争で越王勾践が、呉王夫差に会稽山で敗れた時の故事がもとになってできた
四字熟語です。
越王勾践は、この辱めを晴らすべく復讐心を絶やさぬよう、苦い胆を嘗め、『女(なんじ)、会稽の恥を忘わすれたるか』と自らを奮い立たせました。
『史記』越王勾践世家のお話です。
呉既赦越、越王句踐反國。
呉、既に越を赦(ゆる)し、越王句践、国に反(かえ)る。
呉はすでに越を赦し、越王句践は帰国しました。
乃苦身焦思、
乃(すなわ)ち身を苦しめ思いを焦(こが)し、
そこで、身を苦しめ心を痛め、
置膽於坐、坐臥即仰膽。
胆(きも)を坐(かたわら)に置き、坐臥(ザガ)するに即(すなわ)ち胆を仰ぐ。
胆をかたわらに置き、坐臥するときには仰いで胆をなめた。
飮食亦嘗膽也。
飲食にも亦、胆を嘗(な)む。
飲食するときにも胆をなめた。
曰、女忘會稽之恥邪。
曰く、女(なんじ)、会稽の恥を忘れたるか、と。
そして、言いました、『なんじは、会稽の恥を忘れたか』。