態度や手段が正しく立派であることを表す四字熟語です。『孫子・軍争篇』に出ています。本来戦略の一つでしたが現在では、公明正大で態度が立派なさまを言います。
【正正】も【堂堂】も、状態を表す『擬態語』です。セイセイ、ドウドウ と、それぞれイ、ウで終わってますので『畳韻の擬態語』と言われています。
【正正堂堂】は『孫子・軍争篇』に出ています。『孫子』は春秋末期の兵法家:孫武(ソンブ:生没年未詳)による書です。孫武は「呉越の戦い」で呉の軍師として、呉の名を天下に明らかにしました。
孫武の生涯は明らかではありませんが、仕えていた闔閭(コウリョ)が亡くなり、後を継いだ夫差の時呉の衰退を見越し、国を去って隠棲したとか、何かの罪によって処刑されたとか、いろいろ言われています。 真相は明らかではありません。でも孫武の表した『孫子』は諸子百家の中でも秀逸で、現代でもビジネス界では『孫子の兵法』を敷衍した戦術・戦略書が書店に数多く並んでいます。
『孫子』は「計篇」から始まりまして「火攻篇」に至る十三篇から構成されています。
その中の七番目に「軍争篇」があります。この篇には、敵より遅れて出発しながら、敵に先んじて戦場に到着する戦術を述べています。そこに【正正堂堂】が登場します。
この「軍争篇」には、あの有名な【風林火山】の四字熟語もあります。
毋要正正之旗
正正の旗を要(むか)うること毋(な)く、
整然と旗さしものを立てて進んでくる敵を迎え撃ってはいけないし、
毋擊堂堂之陣
堂堂の陣を撃つこと毋し。
重厚な布陣を敷いている敵軍には攻撃を仕掛けてはいけない。
此治變者也。
此れ変を治(おさ)むる者なり。
これは、敵の状態が悪化するのを待ち、その変化を自軍に有利なように
さし向けて戦闘に入る方法である。
【正正堂堂】でいれば敵は手を出して来ません。常に【正正堂堂】で居れば、戦わずして勝ちを治めそうに見えますが、そうもいかないいんでしょうね。