【管(カン)を以(もっ)て天(テン)を窺(うかが)う】と訓読みされまして、視野や見識が狭いことのたとえを表す四字熟語です。
『史記』扁鵲(ヘンジャク)倉公(ソウコウ)列伝を出典としています。扁鵲は、古代中国の伝説的な名医です。
扁鵲仰天歎曰、
扁鵲、天を仰(あお)ぎて歎(タン)じて曰く、
扁鵲は天を仰いで、溜息をついて言いました、
夫子之爲方也、
夫子(フウシ)の方(ホウ)たるや、
貴方の医術などは、
若以管窺天、
管を以て天を窺い、
管をとおして天をうかがい、
以郄視文。
郄(ゲキ)を以もって文(あや)を視るが若し。
隙間から込み入った模様を見るようなものです。
また、『荘子』秋水篇では「用管闚天:ヨウカンキテン」という四字熟語で、「管を用いて天を闚(うかが)う」、と訓読みされる形で出ています
子乃規規然、
子(シ)は乃(すなわ)ち規規然(キキゼン)として、
ところが君はといえば、うろうろしながら
而求之以察、索之以辯。
之(これ)を求むるに察(サツ)を以てし、之を索(もと)むるに弁を以てす。
こまかい分析によって相手をとらえようとし、つまらない弁論によって相手を追いかけている。
是直用管闚天、用錐指地也。
是(こ)れ直(た)だ管を用いて天を闚(うかが)い、錐を用いて地を指(さ)すなり。
これは、ただ細い管から大空をのぞき、錐(きり)をさして地の深さを測っているだけだ。
不亦小乎。
亦(ま)た小ならずや。
いかにもちっぽけな見方ではないか。 君、帰りたまえ!