【難に臨みて兵を鑄(い)る】と訓読みされまして、国難が起こってからあわてて武器を製造することを表した言葉です。
『晏子春秋』雜篇にあるお話です。春秋時代、魯の昭公(B.C.541~B.C.510)が國難に遭い、
齊の國に逃れてきました。その時齊の景公(B.C.547~B.C.490)は、昭公を善しとしましたが、
宰相の晏嬰は異を唱えました。
譬之、猶臨難而遽鑄兵、
之を譬ふるに、猶(な)ほ難に臨みて遽(には)かに兵を鑄(い)、
それは例えてみれば、国難が起こってからあわてて武器を製造するようなものであり
壱而遽掘井。
壱(むせ)んで遽かに井を掘るがごとし。
食物が喉につかえてからあわてて井戸を掘るようなものである。
雖速、亦無及已。
速(すみ)やかなりと雖も、亦た及ぶこと無き已(のみ)と。
どんなに速やかであっても、とても間に合うものではない。