脂肪の多い美味しい肉と美味い酒のことを言います。
中国の戦国時代末期、秦の呂不韋(リョフイ)が食客を集めて共同編纂させた書物、『呂氏春秋:リョシシュンジュウ』孟春紀・本生篇にでている四字熟語です。
貴富而不知道,適足以為患,不如貧賤。
貴富にして道を知らざれば、適(たま)たま以て患を為(す)に足る。貧賤なるに如(し)かざるなり。
富貴になっても満足することを知らないならば、いずれは破滅の患難に至るだけで、
それならばむしろ貧賤であった方がよい。
億万長者になってもまだ満足しない人は、三つの破滅への道が待っています、と呂不韋(リョフイ)が言っています。 三つの破滅とは
① 招蹶(ショウケツ)の機
外出には車に乗り、門内では輦(レン:かご)に乗って精一杯楽をすること。
これを招蹶(ショウケツ)の機、つまり脚気(かっけ)のもとという。
② 爛腸(ランチョウ)の食
肥肉厚酒、務以自彊、命之曰爛腸之食 。
肥肉厚酒、務めて以て自ら彊(し)う、之を命(な)づけて爛腸の食と曰(い)う 。
美味しい肉を食べ美酒を飲んで精一杯飲食に耽(ふ)ける。
これを爛腸の食、つまり胃腸をくさらす食事という。
③ 伐性(バッセイ)の斧
きめ細かな肌、白い歯の美女たち、鄭(テイ)という國や衞(エイ)という國の
淫(みだら)らな音楽にうつつを抜かして楽しむ。
これを伐性の斧、つまり性命をそこなう斧という。
あくまでも、大金持ちになっていて、尚且つそれに満足していない人への戒めの言葉です。
今から約2200年前、秦の始皇8年(B.C.239年)に完成した『呂氏春秋』でのお話です。