【道を失ふ者は助け寡なし】と訓読みされまして、道理に適った行いをしなければ、人からの助けも得られず、孤独を強いられることになる。という意味です。
『孟子』公孫丑章句下の第一章にでています。
人民が他国へ逃げ出さぬように国境を固めたりするな。
國を守るのに山や谷などの険阻を恃(たの)んだりするな。
天下を威嚇するのにすぐれた武器や甲冑などを揃えたりするな。
昔から言われていることだが、まことに穿(うが)った言葉である。
得道者多助、
道を得る者は助け多く、
正しい道(仁)に適った人には自然と味方が多いし
失道者寡助。
道を失える者は助け寡なし。
正しい道(仁)に適わぬ人には自然と味方が少ない。
寡助之至、親戚畔之、
助け寡なきの至りは、親戚も之に畔(そむ)き、
味方が少ない極端な場合は、親戚までが見放してしまうが、
多助之至、天下順之。
助け多きの至りは、天下も之に順(したが)ふ。
味方が多い極端な場合は、天下の人々がみな、なつき從うものである。
以天下之所順、攻親戚之所畔。
天下の順うところを以て、親戚の畔くところを攻む。
天下をあげて味方にした勢いで、親戚までが見放したものを攻めるのだから、
(天の時や地の利を恃まなくとも)勝敗はすでに決まっている。
故君子有不戦、戰必勝矣。
故に君子は戦わざるを有(たっと) ぶも、戦えば必ず勝つ。
だから、徳のある国のトップは戦わないことを尊ぶが。
止むを得ず戦うときは必ず勝つのである。