心の喜びや怒り、哀しみや懼(おそ)れということを羅列した四字熟語ですが、これらの気持ちは筆跡に現れるのだそうです。心が邪であるか、正しいか、気が強いか弱いか、そういうことも分かるそうです。
佐藤一斎先生『言志録』24條のお話です。
心の邪正、気之強弱は、筆画不能掩之。
心之邪正、気の強弱は、筆画之を掩(おお)うこと能わず。
心が邪(よこ)しまであるか、正しいか、また気が強いか弱いかは、
筆跡に現れるもので、これをおおい隠すことはできない。
至於喜怒哀懼、勤惰静躁。
喜怒哀懼(キドアイク)、勤惰静躁(キンダセイソウ)に至りても、
また、心の喜びや怒り、哀しみや懼(おそ)れということ、
および、勤勉、怠惰、平静、躁然(ソウゼン)などに至るまで
亦皆形諸字。
亦皆諸これを字に形(あら)わす。
皆これらは字に現れるものである。
一日内自書数字以反観、亦省心之一助。
一日の内、自ら数字を書し、以て反観(ハンカン)せば、亦省心(セイシン)の一助ならむ。
だから毎日、自分で5,6字を書いて、それを繰り返しよく観れば、
自己反省の一助となろう。