一大決心をすることです。死んだつもりで奮起することです。
『碧巌録:ヘキガンロク』第四十一則 に出ています。本来の意味は、あらゆるものを捨て去って、仏の道に精進することを言ったものです。
須是大死一番。
須是 ( すべか ) らく 大死一番 して、
死んだつもりで一大決心
却活始得。
却 ( かえ ) って 活 ( かっ ) して 始めて 得 ( よ ) し。
それをやるのは イマでしょ !
『吾輩は猫である』11章に【大死一番】が出ています。
【大死一番、乾坤(ケンコン)新(あらた)なり】という形です。
「いよいよ出たね」
「その声が遠く反響を起して満山の秋の梢(こずえ)を、野分(のわき)と共に渡ったと思ったら、
はっと我に帰った……」
「やっと安心した」と迷亭君が胸を撫なでおろす真似をする。
「大死一番、乾坤新なり」と独仙君は目くばせをする。寒月君にはちっとも通じない。