【人命は數(スウ)有り】と訓読みされまして、人の寿命は運命によるものであり、
人の思いでどうにかなるものではない。『言志耋録:ゲンシテツロク】288条。
人命有数。
人命は数有り。
人の寿命には一定の運命があって、
不能短長之。
之(こ)れを短長(タンチョウ)する能わず
人がこれを長くしたり、短くしたりすることは出来ない。
然我意欲養生者。乃天誘之也。
然(しか)れども、我が意、養生を欲する者は、乃(すなわ)ち天、之れを誘(いざな)うなり。
しかし、自分の意欲で養生をしようと欲する者は、
すなはち、その人自身の発意によるのではなく、天が誘ってそうさせるのである。
必得脩齢者。亦天錫之也。
必ず脩齢(シュウレイ)を得る者も、亦(また)天、之れを錫(たま)うなり。
また、必ず思い通りに長寿を得た(と思っている)者も天がそれを授けてくれたのである。
究之妖寿之数。非人之所干。
之れを究(キュウ)するに妖寿(ヨウジュ)の数は、人の干(あずか)る所に非(あら)ず。
結局のところ、若死にか長寿かは、人の関係する所のものではない