「君子は豹変す」とも言います。この言葉は現在、「節操もなく自分の意見をコロコロ変えること、と解釈され使われていることが多いようです。豹のすばしっこい動きからか、変わり見が早く、ずるく立ち回る、要領のいい人」と言うように、むしろ悪いイメージの四字熟語と思われています。
『易経』の原文をたどると、「君子豹変、小人革面」とあり、朝日選書『易:本田濟』著 によると「君子は時代の推移に従って、自己を変革し、新しい文化の建設に貢献すること、あたかも豹の毛が季節につれて抜け変わり、文様が美しくなるように、鮮やかである。小人(=庶民)は、結果を享受(きょうじゅ)するだけなので、ただ顔つきを革めて、おとなしく新しい君子に従う」とあります。
ですから当初の用法は、誤ったらすぐ改めることは善いことであるとしているのに対し、今日では立派な人でも態度を簡単に変えるのは、善いことではない、となっているようです。
何代前かの首相は「基地は県外に」と大見得を切っておきながら、「よくよく調べたら、無理だった」と『豹変』。それにこの人は「首相を辞めたら国会議員も辞める」とも言ってました。しばらくして「辞めるの止めた」とやはり『豹変』しました。その人はいまも伸(の)う伸(の)うと国会議員として残っているようです。