【花に清香(セイコウ)有り】と訓読みされまして、花の香の清らかさに包まれたようすを表しています。
蘇軾(ソショク)の七言絶句『春夜』の一節です。
蘇軾(1036年~1101年)は北宋第一の文化人と称され、詩人であり政治家でありました。
字は子瞻(シセン)。号は東坡(トウバ)。三蘇の一で、父:蘇洵(ソジュン)の老蘇、弟:蘇轍(ソテツ)の小蘇に対して、大蘇といわれています。
春宵一刻値千金
春宵(シュンショウ)一刻(イッコク) 値(あたひ)千金
春の宵のひと時は、千金の値
花有淸香月有陰
花に淸香(セイコウ)有り 月に陰(かげ)有り。
花は清らかな香りに包まれ、月は朧に見えるとき
歌管樓臺聲細細
歌管(カカン)樓臺(ロウダイ) 聲(こゑ)細細(サイサイ)
楼台の歌と樂の音がかすかに響き
鞦韆院落夜沈沈
鞦韆(シュウセン)院落(インラク) 夜(よる)沈沈(チンチン)
ブランコの置かれた中庭に夜は深々と更ける