人が引き受けてなすべき任務を、他になすりつけることをいいます。
【責】の元の字は、朿(セキ)+貝から作られました。
「朿」は先のとがった木で、目印の木として立てたりまた突き刺すのに用いるものです。
税として納める財物「貝」の上に印として「朿」を立てることを「責」といいます。
その財物が農作物ならば「積」、織物ならば「績」といいます。
【任】は、人+壬から作られた形声文字です。
「壬」は、工具の形で、工の形ですが、特に中央部が太くなっている工具なので「壬」の形に
なりました。この工具は、金属を打ちきたえて器物を作るためのたたき台であるので強い力や
重さによく堪えることが出来る台です。それで「任」は人が「たえる、あたる、になう」の意味と
なりました。
【責任】は、広辞苑によりますと
①人が引き受けてなすべき任務。
これは『荘子』天道篇によるものです。
則ち事に任ずる者に責めあり。・・・・・仕事に当たった人々がそれぞれに責めを果たす。
②政治・道徳・法律などの観点から非難されるべき責(せめ)・科(とが)。
法律上の責任は主として対社会的な刑事責任と、主として対個人的な民事責任とに大別され
それぞれ一定の制裁を伴う、とありました。
【転】の元の字は、【轉】で車+專から作られた形声文字です。
「專」は袋の中に物を入れ手(寸)でうって固めることをいい、丸めるの意味があります。
まるめたものは回りやすく、ころびやすいものですから、車輪の回ることを【轉】といいます。
そこから「まわる、めぐる、ころぶ、ころがる、うつる、かわる」といろいろの意味に用いられます。
常用漢字の【転】は「專」の部分を「云」に省略しました。「伝」も「傳」が省略されたものです。
【嫁】は、女+家 から作られた形声文字です。「家」はもと祖先を祭る廟(みたまや)で、嫁はその廟に
仕える女をいいます。嫁いできた新妻は夫の家の人として認めて貰うために、廟にお参りして
仕えました。それで「よめ、とつぐの意味となりました。
また「賈」と音が類似することから「なすりつける」の意味にも用いられます。
【転嫁】は、【嫁】に「なすりつける」といういみがありまして、【転】と合成で、自分の過失や責任を
他の人になすりつける、と言う意味になります。
【転嫁】に「再婚」の意味もありますが、【責任転嫁】とは関係ありません。