異国の人のわけのわからない言葉のことを言います。
【南蠻(蛮)】は、古代中国から見て南方の野蛮人を言います。
日本もその昔、東の未開人ということで「東夷」と言われていました。
【鴃舌】は、もずの鳴き声を言いますが、転じて、やかましくて意味の通じない異民族の言葉の喩です。
出典は『孟子』滕(トウ)文公・上です。
「南蛮鴃舌の人」と孟子に言われている人は、戦国時代楚の農家派の遊説家で、
皆農説(すべての人は農耕に従事し,勤倹に努めるべきこと)を唱えた許行(キョコウ)を指します。
今也南蠻鴃舌之人、非先王之道。
今や南蠻鴃舌の人、先王之道を非とす。
ところが今、南方の野蛮人で、もずの囀(さえず)るような変な言葉を使う、
あの許行などの唱える、聖人の道をば非難する、取るに足らない邪説を信じて、
子倍子之師而學之、
子、子の師に倍(そむ)きて之に學ぶ、
君らは自分の先生に背いてまでも(許行に)學ぶとは。
亦異於曾子矣、
亦(また)曾子に異なれり、
さてさて曾子の取った態度とは余りに違いすぎるではないか。