【酒食(シュシ)し徴逐(チョウチク)す】と訓読みされまして、互いに呼んだり呼ばれたりして、酒を飲んだり食事をしたりする仲のよい関係を言います。
韓 愈(カンユ:768年~ 824年)が親友で古文運動の同志であった柳宗元(リュウソウゲン: 773年~819年)のために『柳子厚墓誌銘』を作りました。【酒食徴逐】はその中にあります。前後を抜粋しました。
嗚呼、士窮乃見節義。
嗚呼(ああ)、士は窮(キュウ)して乃(すなわ)ち節義を見(あらわ)す。
ああ、士は窮地に立ってはじめて節義を現わすものだ。
今夫平居里巷相慕悦、
今 夫(そ)れ里巷(リコウ)に平居して相慕悦(ボエツ)し、
ところが今の士は巷に安穏と暮して、仲よくしている、
酒食游戲相徴逐、
酒食游戯して相徴逐(ちょうちく)し、
酒を飲んだり遊んだりして、互いに往き来して
詡詡強笑語以相取下、
詡詡(くく)として強いて笑語し以って相取り下り、
和やかに笑い合い
握手出肺肝相示、
手を握り肺肝を出して相示し、
手を握り胸の内をさらけ出して、
指天日涕泣、
天日(てんじつ)を指さして涕泣(ていきゅう)し、
太陽をさして、涙を流し
誓生死不相背負。
生死相背負(はいふ)せざるを誓う。
いつまでも裏切るまいと誓いあった。