詩が作れないものに対して、罰として飲ませる酒のことを言います。
【金谷】は、中国西晋の大富豪:石崇(セキスウ)と言う人の別荘の名前です。
【酒數】は、酒を飲む杯の数です。
李白の『春夜桃李園に宴するの序』という四六駢儷体の文の中に【金谷酒數】が出ています。
また、この文の冒頭は、松尾芭蕉『奥の細道』の「月日は百代の過客にして…」の出だしに使われています。
長い文章ですので、出だしの部分と、【金谷酒數】のところを抜粋しました。
夫天地者万物之逆旅、光陰者百代之過客。
夫れ天地は万物の逆旅にして、光陰は百代の過客なり。
そもそも天地は万物を迎え入れる宿であり、時の流れは永遠の旅人です。
而浮生若夢、為歓幾何。
而して浮生は夢のごとし、歓を為すこと幾何ぞ。
はかない人生は夢のようであり、喜び楽しむことはどれほどあるのでしょうか。
(途中省略します)
不有佳作、何伸雅懐。
佳作有らずんば、何ぞ雅懐を伸べん。
優れた詩ができなければ、どうして風流な思いを述べることができましょうか、
如詩不成、罰依金谷酒数。
如し詩成らずんば、罰は金谷の酒数に依らん。
もし詩ができなければ、罰として金谷園の故事にならって酒三杯を飲ませましょう。