【群蟻(グンギ)、羶(セン)に附(つ)く】と訓読みされます。
多くの蟻がなまぐさい羊の肉に集まることを言います。この意味が変化して、利益のあるところに人が群がり集まるたとえとして使われる四字熟語となりました。
【群蟻】は、群れをなす蟻です。
【羶】は、羊の生肉、なまぐさい肉を言います。羊(ヨウ)+亶(セン)からできる会意文字です。
亶は「花壇」、「仏壇」に使われています。独壇場(ドクダンジョウ)と言ってますが正しくは、独擅場(ドクセンジョウ)です。
【附】は、「つく」と言う意味です。もともと【附】と「付」は字源から、ハッキリと使い分けがなされていました。【附】は「つく」で「付属とか、附則」ですし、「付」は「与える」で「付与とか、交付」の意味で、それぞれ使われていました。
現代表記では、いずれも「付」を用いるのが一般的になってしまいました。
【群蟻附羶】は『荘子(ソウジ)・徐無鬼(ジョムキ)』に出ています。「徐無鬼」は姓を徐、字(あざな)を無鬼という隠者の名前です。それが篇名になっています。
羊肉、蟻を慕(した)はずして、蟻、羊肉を慕(した)ふは、羊肉の羶(なまぐさ)ければなり。
羊の肉は蟻を慕って集まることはないが、蟻は羊の肉を慕って集まって来る。これは羊の肉が
生臭いからである。
儒家を激しく非難していた荘子は、この文章のあと
「儒家の言う昔の聖天子舜(シュン)の行動には生臭いところがあったから、人民が彼を喜び慕ったのである。それゆえに舜は三度も住居を移しながら、そのたびに人民が集まって都が出来、鄧(トウ)という村里に行くと十余万もの家が立ち並んだそうだ」
と続けてます。
現代では「シロアリ」と呼ばれて既得権益に群がっているようです。
天下って、原子力村や年金村を栄えさせているとか報道されています。