詩や文章などに規格はずれや誤りが多いことを言い、そこから物事のやり方が雑で誤りが多いことを言うようになりました。
【杜撰】の語源にはいろいろあるようですが、そのなかで『杜默』説が話として面白く、巷間に流布しているとのことです。
【杜】は、宋の詩人杜默のことを言います。ズと読むのは呉音読みです。
【撰】は、普通センと読みますが、「詩文を作る」意味のときにサンと読みます。
【杜撰】は、杜默(トモク)の作った 詩と言う意味です。
【脱漏】は、ぬけもれる、ということで誤りが多いという意味になります。
以上のことから【杜撰脱漏】は、杜默の作った詩は規格、すなはち韻律に合わないものや、誤りが多いと言うことになります。
そうして、仕事のやり方や物事の内容が、誤りでいいかげんなことが多いのにも使われる言葉になりました。
宋代の王楙(オウボウ)と言う人の『野客(ヤカク)叢書(ソウショ)』に紹介されている杜默のエピソードが【杜撰】の語源の一つと言われています。
杜黙、詩を為(つく)るに、多く律に合せず。故に事の格(=規格)に合せざる者を言いて
杜撰と為す。
(杜默はよく詩を作ったが、その多くは韻律に合っていなかった。
そこで規格に合っていない物事を指して、杜が撰(つく)った詩のようだ、すなはち【杜撰】と
評するようになった)
の記載があります。
『野客』は、官に仕えず、世をさけて隠れ住んでいる人のことを言います。