判官(ハンガン)とは平安時代に置かれた檢非違使(ケビイシ)の尉(ジョウ)のことですが、【判官(ホウガン)贔屓(ビイキ)】の「判官(ホウガン)」は「九郎(クロウ)判官(ホウガン)」と呼ばれた源義経をさします。
平家討伐に功績のあった義経は人々から賞賛されましたが、兄の頼朝に憎まれて奥州平泉に逃げました。義経は、藤原秀衡(ひでひら)に助けられましたが、秀衡の死後、秀衡の子である泰衡(やすひら)に襲われ、自ら命を絶ってしまいました。
判官であった源義経のような不遇の英雄に世間が同情し、贔屓したことから生まれたのが【判官贔屓】です。
ですから【判官贔屓】は【ホウガンビイキ】と読むのが基本ですが、現在では【ハンガンビイキ】とも読みます。
もう一人【判官贔屓】したい人がいます。
浅野内匠頭長矩(あさのたくみのかみながのり)をモデルとした『假名手本忠臣蔵』の塩冶判官(えんやはんがん)です。
歌舞伎では、義経をホウガン、塩冶判官をハンガンと呼び習わしているそうです。
因みに『假名手本』の意味は、いろはにほへとを7文字づつ区切って書き、右端を上から読むと、
いろはにほへと
ちりぬるをわか
よたれそつねな
らむうゐのおく
やまけふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせす
『とかなくてしす』すなわち『咎なくて死す』。無言の意志表示です。