柄の曲がった【杓子】を【定規】のかわりにして、まっすぐなものを測るという意味です。
間違った基準で物事を判断してしまう、という意味でも使われます。
【杓子定規】の使用例が中島敦「弟子」に出ています。
數日後、子路がまた街を歩いていると、往來の木蔭で閑人達(カンジンたち)の
盛んに辯じている聲が耳に入った。
それがどうやら孔子の噂のようである。――昔、昔、と何でも古を擔(かつ)ぎ出して
今を貶(おと)す。
誰も昔を見たことがないのだから何とでも言える譯(わけ)さ。
しかし昔の道を【杓子定規】にそのまま履(ふ)んで、それで巧(うま)く世が
治まるくらいなら、誰も苦勞はしないよ。
俺達にとっては、死んだ周公よりも生ける陽虎(ヨウコ)様の方が偉いということに
なるのさ。