神のように出て鬼のように没す、という意味で、すばやく現れたり隠れたりすることです。
『淮南子』兵略訓、が出典としては古いようです。
兵略訓とありますように、兵(=戰い)の謀略について述べられた個所です。
古代中国の兵法書としまして武経七書( 孫子 呉氏 司馬法 尉繚子 李衞公問對 黃石公三略
太公六韜)が有名です。『淮南子』兵略訓は実戦における駆け引きではなく、道家思想に基づいた
兵法哲学の色彩が濃厚である、と言われています。
『淮南子』では、【神出鬼没】ではなく、【神出鬼行】となっていますが、同義です。
善者之動也、
善(よ)くする者の動くや、
(用兵に)長ずる人の行動は、
神出而鬼行、
神出にして鬼行、
神出鬼没、
星耀而玄運、
星の耀(かがや)きて玄(そら)の運(めぐ)るがごとく、
星の輝くがごとく、天の運るがごとく
進退詘伸、不見朕憖。
進退詘伸(シンタイクッシン)には、朕憖(チンギン)を見ず。
一挙一動は、前触れもなく、痕跡も残さない。
鸞擧麟振、鳳飛龍騰、
鸞擧麟振(ランキョリンシン)、鳳飛龍騰(ホウヒリョウトウ)、
鸞の舞い麟の走り、鳳の飛び、龍の騰(のぼ)るにも似て
發如猋風
發すること猋風(ヒョウフウ)の如く
発動するさまは、はやてのごとく
疾如駭電。
疾(はや)きこと駭電(ガイデン)の如し。
疾駆するさまは、駭電(いなづま)の如くである