あらゆる物事(ものごと)、それぞれの物事(ものごと)、という意味で「事物」の「事」と「物」を別々に強調してそれぞれの事、それぞれの物と表現して、【事事物物】となりました。
『学問ノススメ』第五篇:明治七年一月一日の詞、として慶應義塾での年頭の挨拶の中に出てきます。
文語文で書かれていますので、念のため口語文を付けました。
今や外國の交際俄かに開け、國内の事務一(イツ)としてこれに關せざるものなし。
今や外国との交際が急に開け、国内の事業はどれ一つとして外国に関係のないものはない。
事々物々、みな外國に比較して處置せざるべからざるの勢ひに至り、
あらゆる物事を、外国と比較して処置しなければならない状態となった。
古來わが國人(コクジン)の力にて僅かに達し得たる文明の有様をもって、
昔から日本人が自分たちの力でやっと達しえた文明の程度を、
西洋諸國のありさまに比すれば、ただに三舎を讓るのみならず、
西洋諸国のそれに比べれば、はるかに及ばない。
これは倣はんとして、あるいは望洋の嘆を免れず。
そればかりか、その真似をするさへ、何から手を付けていいか分らぬくらいである。
ますますわが獨立の薄弱なるを覺ゆるなり。
ますます日本の独立のひ弱さを痛感にはいられない。