「知(チ)崇(たか)く礼(レイ)卑(ひく)し」と訓読されまして、
本当の知者は知識を得れば得るほど、他人に対しては謙って、礼を尽くすものだという意味です。
「知崇」は、知能が高くなることで、それによって徳も高まることを意味します。
「礼卑」は、礼においてはへりくだるということで、それによって人に慕われるということを意味します。
『易經』繫辭傳(ケイジデン)上にある四字熟語です。
子曰。易其至矣乎。
子曰く、易は其れ至れるかな。
孔子が言いました、易とはまことにこの上ないものではある。
夫易。聖人所以崇德而廣業也。
夫れ易は、聖人の徳を崇くし業を廣むる所以なり。
そもそも易は、聖人が自己の道徳を高め、
業績を広めようとするためのものである。
知崇禮卑。
智は高く、礼は低し。
本来的に言って知識は高遠を目指し、
礼讓は卑謙を目指すべきであり、
崇效天。卑法地。
崇きは天に效い。卑きは地に法(のっと)る。
知識の高遠さは天の高きに効い、
礼讓の卑謙さは地の卑きに法るべきである。
天地設位。而易行乎其中矣。
天地位を設けて、易其の中に行なわる。
天地に高低の位を設けて、易はその中で行なわれる。
成性存存。道義之門。
性を成し存すべきを存するは、道義の門なり。
人がその天性を成就し保存すべきものを保存することこそは、
人が道義に入るための門であると言えよう。