風の音や鶴の鳴き声などのわずかなことにも、驚き恐れる事から、
ささいなことに驚いたり怖気づいたりすることの喩です。
「風聲(声)」は風の音です。「鶴唳」は、鶴の鳴き声を言います。
『晋書』謝玄(シャゲン)傳にでている四字熟語です。
中国の五胡十六国時代(316年~439年)に、華北の前秦軍と江南の東晋軍とが383年に淝水(ヒスイ)で戦った時の勝敗の分かれ目が【風聲鶴唳】でした。
前秦:百万の兵、東晋:八万の兵が淝水を隔てて対陣しました。
前秦軍は、東晋軍を誘き寄せるため、作戦として故意に後退しました。
百万の兵に作戦は徹底しませんでした。
あるところまでの後退が、退却と伝わり、どこまでも退いているうちに、
敵:東晋に攻め込まれ
聞風声鶴唳、
【風声鶴唳】を聞き
風の音や鶴の鳴き声を聞いても
皆以爲王師已至。
皆 以て王師(東晋軍)已に至ると爲す。
皆 東晋の軍がやってきたと恐れた。
草行露宿
草に行き露に宿り
草原を逃げ、夜露に寝て、
重以飢凍
重ぬるに飢凍(キトウ)を以てし
飢え凍えて、
死者十七八。
死する者 十に七、八。
十人中七、八人が死んでしまった。