【薪(たきぎ)を抱(いだ)きて火(ひ)を救(すく)う】と訓読みされまして、害を除こうとして、かえってその害を大きくしてしまうことの喩です。
『史記』魏世家で魏の安釐王(アンキオウ。B.C.276~B.C.243)の時のエピソードの中にある四字熟語です。
魏の将軍:段干子(ダンカンシ)が秦に南陽(魏の町)を与えて、秦と和睦したい、と願った。
蘇代(ソダイ)は安釐王に向かって言いました
秦の官位を欲しがっているのが段干子であり
魏の領地を欲しがっているのが秦であります。
ただいま、王は領地を欲しがっている者に官位をつかさどらせ
官位を欲しがっている者に領地をつかさどらせようとなさっています。
それでは魏の國の領地がなくなってしまわなければ、終わることがありません。
それに、そもそも領地を献ずることによって秦に仕えようとするのは
抱薪以救火也。
薪(たきぎ)を抱(いだ)いて以て火を救(すく)ふがごときなり。
薪を抱えて火をなくそうとするようなもので、
薪がなくならなければ、火は消えません
安釐王は、段干子の方策を取り下げました。