【危うきこと旦夕(タンセキ)にあり】と訓読みされまして、危機が今朝か今夜かというところに来ている。
危機が眼前に迫っている、という意味です。
【旦夕】は、朝夕のことで、わずかな時間を表す言葉です。
戦国時代」の衞の公子で、法家の学説を秦の孝公に説き、
商の君に封ぜられた商鞅(ショウオウ)に対して趙良(チョウリョウ)が戒めて、
『書経』にこうあります。『徳を恃(たの)む者は栄え、力を恃む者は滅びる』と。
君之危若朝露
君の危うきこと朝露の若く
あなたの危険は朝露のようなものなのです。
尚将欲延年益壽乎。
尚ほ将(は)た年を延べ壽を益さんと欲するか。
それでもなお、長寿を望みますか。
そうならば、どうして十五邑を返還して田舎に引っ込んで国の樹木に水をやるような
暮らしをされないのですか。
隠遁している有能な士を探して秦王に推薦し、老人を養い、孤児を育て、父兄を敬い、
功労者に正当な地位を与え、有徳者を尊敬しないのですか。
結局、商鞅は趙良の言に従いませんでした。
最後は、車裂きの刑に処せられました。