【即(つ)かず離(はな)れず】と訓読みされまして、仏教からきた四字熟語です。
二つの概念が矛盾しつつも、相反することがないという微妙な関係にあることを言います。
『吾輩は猫である』第3章に【不即不離】が使われています。
「書物は商買道具で仕方もござんすまいが、よっぽど偏屈でしてねえ」
迷亭はまた別途の方面から来たなと思って
「偏屈は少々偏屈ですね、学問をするものはどうせあんなですよ」
と調子を合わせるような弁護をするような【不即不離】の妙答をする。
「せんだってなどは学校から帰ってすぐわきへ出るのに着物を着換えるのが
面倒だものですから、あなた外套も脱がないで、机へ腰を掛けて御飯を食べるのです。
御膳を火燵櫓(こたつやぐら)の上へ乗せまして――私は御櫃(おはち)を抱えて
坐っておりましたがおかしくって……」
「何だかハイカラの首実検のようですな。しかしそんなところが苦沙弥君の苦沙弥君たる
ところで――とにかく月並でない」と切せつない褒め方をする。