功があれば必ず賞し、罪があれば必ず罰することを表す四字熟語です。
賞罰を正しく行い、また明らかにすることを表します。 【信】は「まこと」と言う意味で、「必ず」と同意です。
『韓非子・内儲(ナイチョ)説上』 に君主が群臣を統御するには幾つかの心得が必要であって、それには七つの方法があると説いてます。 その内の 2)と3)が【信賞必罰】のことを言っています。
1) 衆端(シュウタン)を参観すること。
すなわち、 部下の言動を、よく聞き、よく見ること。
2) 必罰して威を明らかにすること。
すなわち、 刑罰を必ず下し、威厳を保つこと。
3) 信賞して能を尽くさしめること。
すなわち、 賞与を厚くし、確実にすること。
4) 一聴して下を責めること。
すなわち、 部下に言行一致を求めること。
5) 疑詔(ギショウ)し詭使(キシ)すること。
すなわち、 いつわりの招集、や命令を出して怯(ひる)ませる。
6) 知を挟んで問うこと。
すなわち、 知っていることを隠して問いかけること。
7) 言を倒(さかさま)にし事を反(かへ)すこと。
すなわち、 わざと反対の事を言って、相手の反応を見ること。
【信賞必罰】の実例として、同じく『韓非子・外儲説右上』に、晉の文公が狐偃(コエン)に尋ねた話としての記述があります。
「民を、心から戦わせるようにするには、どうしたらいい?」 と晉の文公が聞きました。
狐偃が答えて言いました
「信賞必罰を、確実に行うことです」。
文公は、「明日正午に集合せよ。集号時間に後れたものは、軍法により処罰する」という命令を下しました。
あろうことか寵臣(チョウシン)の顚頡(テンケツ)が遅れました。軍法により斬殺されました。
『泣いて馬謖を斬る』より遡ること、およそ800年。
以後、命令は徹底されたそうです。