【錦上(キンジョウ)に花を添(そ)う】と訓読みされまして、
美しいものの上に、さらに美しいものを加えることを言います。
【錦】は、美しい綾織物のことを言います。
王安石の七言律詩『即時詩』の六句目に【添錦上花:錦上花を添う】の形で出ています。
河流南苑岸西斜、
河は南苑を流れ岸は西に斜めなり
河は南の苑(その)を流れ、岸は西に傾斜。
風有晶光露有華
風に晶光(しょうこう)有り露に華有り
風はきらきらと光り、露は花のよう。
門柳故人陶令宅
門柳(もんりゅう)は故人陶令が宅
門前に柳があるのは、旧友の陶知事の家。
井桐前日總持家
井桐(セイドウ)は、前日(ゼンジツ)総持(ソウジ)が家
井戸の傍の桐の木がるのは、以前、総持の家。
嘉招欲覆盃中淥、
嘉招(カショウ)覆(かさ)ねんと欲す盃中の淥(ロク)
よき招きにあずかり、盃を何度も傾けたい純米酒。
麗唱仍添錦上花
麗唱仍(よ)って錦上花を添う
みごとな歌のもてなしは、錦の上に花を添えたよう。
便作武陵樽俎客、
便(すなわ)ち武陵樽俎(ソンソ)の客となる
武陵の桃源に遊んだ漁師のように、帰ることも忘れてしまいそう。
川源應未少紅霞
川源(センゲン)応(まさ)に未だ紅霞(コウカ)を少(か)かざるべし
川の源の空はまだ夕焼けに染まっている、色褪せることなく。