白居易(772~846)は李白(701~762)が亡くなってから50年ほど経って、李白のお墓を訪れました。荒れ果てた墓を見、李白の生前の不遇を思い慨嘆して、作った詩に『驚天動地』が使われています。
可憐荒瓏窮泉骨 憐れむべし荒壟(こうろ)窮泉(きゅうせん)の骨
曾有驚天動地文 曾て驚天動地の文有り
但是詩人多簿命 ただこれ詩人多く薄命、
就中淪落不過君 なかんずく淪落(りんらく)すること君に過ぎず。
荒壟:荒れ果てた塚、墓。 窮泉:黄泉の国を窺う、墓のこと。
淪落:おちぶれる、零落。 『驚天動地』は「天を驚かし、地を動かす」と訓読します。
昔は世間を驚かす名詩名文をつくったあなたでした。不幸な詩人の多い中、あなたほど零落した人はいない。と李白を悼んだ詩を作りました。ここでの『驚天動地』は李白の詩才を賛美するのに使われました。今は才能、能力に驚くよりは、事件・出来事にビックリ仰天した時に使われることが多いです。
今年平成23年も12月を迎えました。『驚天動地』の年として歴史に銘記されることでしょう。3・11 東日本大震災、原発被害、とんでもない目に合わされました。いやまだ『驚天動地』の最中です、と私は思います。