穏やかでもの柔らかな言葉を言います。
【巽】は、篆文で「巳巳+丌」から作られた会意文字です。二人(巳巳)が神殿の前の舞台(丌)で並んで
舞楽し、神に献じている形が文字化されました。
① 意味は、南東の方角を表す「たつみ」。②供ええる。③したがう、うやまう。つつしむ。④ゆずる。
【巽與】は、【巽】が、うやうやしく、【與】が、やわらぐ、という意味を持って作られた熟語です。
『論語』子罕(シカン)にでています
子曰、法語之言、能無從乎。
子日く、法語の言は、能(よ)く従うこと無からんや。
孔子が言いました、筋の通った教訓の言葉は、従わないではいられない。
改之爲貴。
之れを改むるを貴(たっと)しと為(な)す
(教訓に従って)自分の行いを改めるのは大事なことである。
巽與之言、能無説乎。
巽与の言は、能く説(よろこ)ぶこと無からんや。
穏やかでもの柔らかな言葉は、ありがたいものだ。
繹之爲貴。
之れを繹(たず)ぬるを貴しと為す
(しかし)じっくりとその意味を考えることが大事だ。
説而不繹、從而不改、
説びて繹ねず、従いて改めずんば、
巽与の言を聞いても、うれしがってじっくりとその意味を考えようとせず、
法語の言を聞いても、思うだけで自分の行いを改めようとしない者は、
吾末如之何也已矣。
吾れ之れを如何(いかん)ともする末(な)きのみ。
私も処置なしだ。