人を啓発させて、物事を深く考えるようにさせることを表した言葉です。
杜甫の『龍門(リュウモン)奉先寺(ホウセンジ)に遊ぶ』という五言律詩の結句にあるのですが、
原文は【令人発深省】と なっていまして【人をして深省を発せしめん】と訓読みされます
開元24年(736年) 杜甫25歳の時に作られました。
『遊龍門奉先寺』は五言律詩として、かなり初期の作品と言われています。
前の年「科挙」に不合格でした。 数千人の受験者で合格は27名。不合格でもあまりショックはなかったようです。
已従招提遊 已(すで)に招提(ショウダイ)の遊びに従い
今日このお寺でまなび
更宿招提境 更に招提の境(キョウ)に宿す
そのうえ境内で一夜を過ごす
陰壑生虚籟 陰壑(インガク) 虚籟(キョライ)生じ
北側の崖に、風音が生じ
月林散清影 月林(ゲツリン) 清影(セイエイ)散ず
月下の林は 清らかな光を放つ
天闕象緯逼 天闕(テンケツ)に象緯(ショウイ)逼(せま)り
天の宮門かと怪しくせまり、
雲臥衣裳冷 雲臥(ウンガ)すれば衣裳(イショウ)冷ややかなり
山中に臥していると 着物も冷たく
欲覚聞晨鐘 覚(さめ)んと欲して晨鐘(シンショウ)を聞けば
明朝目ざめようとして 鐘の音を聞けば
令人発深省 人をして深省(シンセイ)を発せしめん
心に深い反省の念を起こさずにはいられない。