【勝手気ままに振る舞い、世の中の秩序を乱すけしからぬもの】が広辞苑の説明です。
【逞】は、辶+呈(テイ:音符号)から作られた形声文字です。
意味は「たくましい。こころよい」です。
音符号の『呈』は、祝詞を入れる器である『口』を捧げ呈示して、神に祈ることを表す字でした。
【不逞】は、(満足しないで不平を抱き、)勝手気ままにふるまうことを言います。
【輩】は、車+非(ハイ:音符号)から作られた形声文字です。
音符号の『非』は、すき櫛の形で、左右に相並ぶものを表します。
【輩】は、戦争でならんだ車の意味から、変化して「ともがら。なかま。やから」の意味を
表すようになりました。
【不逞】も【輩】も感情表現に使われます
古代中国、春秋時代(B.C.770年~B.C.403年)の記録『春秋左氏傳』襄公十年九月の条に
【不逞之人】が出ていました。
初、子駟爲田洫、
初め、子駟(シシ)田洫(デンキョク)を爲(つく)るとき、
子駟がかって用水溝を造ったとき
尉止氏、司氏.堵氏.侯氏.子師氏.皆喪田焉.
尉止(イシ)氏、司(シ)氏、堵(ト)氏、侯(コウ)氏、子師(シシ)氏 皆田を喪(うしな)う。
尉止氏、司氏、堵氏、侯氏、子師氏は、皆 田畑を取られてしまった。
故五族聚羣【不逞之人】.
故(ゆえ)に五族の羣(=群。グン)【不逞の人】を聚(あつ)めて、
そこで五族は不平分子たちを集めて
因公子之徒以作亂。
(以前 子駟に殺された)公子の徒に因(よ)りて以て亂を作す。
公子の仲間を動かして乱を起こした。