遠くにいる友人を気遣うことを表した四字熟語です。
「渭樹」は長安郊外を流れる川、渭水のほとりの樹木という意味です。
「江雲」は長江の空に浮かぶ雲。
渭水の北の地にいる杜甫が、長江にいる李白を思って作った詩
『春日李白を憶う』から作られた、四字熟語です。
春日李白を憶う 杜甫
白也詩無敵 白や 詩に敵無し
李白よ、あなたの詩に敵(かな)う者はいない。
飄然思不群。 飄然 思いは群ならず。
空を舞うかのような発想は並ぶものがない。
清新庾開府 清新なるは庾開府(ユカイフ)
清新さはかの庾信(ユシン)を思わせ、
俊逸鮑參軍。 俊逸(シュンイツ)なるは鮑參軍(ホウサングン)
俊敏さはかの鮑照(ホウショウ)さながら。
渭北春天樹 渭北(イホク) 春天の樹(き)
渭水の北で春の木々を見るわたし、
江東日暮雲。 江東(コウトウ)日暮(ニチボ)の雲
江東の地で日暮れの雲を見る君。
何時一尊酒 何(いず)れの時か一尊(イッソン)の酒もて
いつの日か、酒樽を前に、
重與細論文。 重ねて與(とも)に細(こま)やかに文を論ぜん
またあれこれと詩について語り合いたいものだ。
この詩を作った3年ほど前、杜甫32歳と李白43歳は1年ちょっとの間、親交を持ち、あちこち旅行をしました。二人が会うのはこのときだけです。
杜甫が李白を歌ったものはあわせて15編、李白が杜甫を歌ったものは4篇です。