【頸(くび)を延(の)べ踵(きびす)を擧(あ)ぐ】と訓読みされまして、首を伸ばし、爪先立って、何かを待ち望むということです。
【頸】は、頁+巠(音符号)から作られた形声文字です。
漢音:ケイ、意味は「くび」です。【頚】は俗字です。
【踵】は、足+重(音符号)から作られた形声文字です。
漢音:ショウ、意味は「かかと。くびす。きびす」です。
『史記』司馬相如(シバショウジョ)列伝での【延頸擧踵】です
南夷之君、西僰之長、
南夷(ナンイ)の君、西僰(セイホク)の長、
南夷の君主や西僰の首長は、
常效貢職、不敢怠墮。
常に貢職(コウショク)を效(いた)し、敢へて怠墮(タイダ)せず。
つねに貢物を献上し、つゆも怠ることがない。
【延頸舉踵】、喁喁然、
【頸を延べ踵を舉げ】、喁喁(ギョウギョウ)然(ぜん)として、
首を伸ばして爪先立ちになり、水面で口をぱくぱくさせる魚のように
皆爭歸義,欲為臣妾,
皆、爭ひて義に歸し,臣妾(シンショウ)たらんと欲す。
漢の德を仰ぎ慕って帰順し、臣下としてつかえようとしている。
また『呂氏春秋』季秋紀:精通篇の【延頸擧踵】です
聖人南面而立、
聖人、南面して立ち
君主が人民に向かい
以愛利民爲心、
民を愛利(アイリ)するを以て心と爲せば、
人民を愛し、人民のためになることを考え
號令未出而
號令、未だ出ざるに、
号令を出さずにいたが
天下皆【延頸舉踵】矣。
天下、皆 【頸を延べ踵を舉ぐ】。
人民はそれを待ち望んでいた。