【翻(ひるがえ)せば雲、覆(くつがえ)せば雨】と訓読みされまして、世の人の心や人情は、きわめて変わりやすい、と言う喩えです。
杜甫の『貧交行』という七言絶句の一句目に出てくる言葉です。詩の中では
【手を翻(ひるがえ)せば雲と作(な)り、手を覆(くつがえ)せば雨となる】となってます。
翻手作雲覆手雨
手を 翻せば雲と作り 手を覆せば雨となる
手のひらを上に向ければ雲となり、下に向ければ雨となる
(ちょうどそのように、世俗の人情は、いともあっけなく変わってしまう)
紛紛輕薄何須數。
紛紛(フンプン)たる輕薄(ケイハク) 何ぞ 數(かぞ)ふるを 須(もち)ゐん。
このような多くの軽薄な者どもは、物の数ではない、相手にする必要はない。
君不見管鮑貧時交
君見ずや 管鮑(カンポウ) 貧時の交はりを
君たち知らないのか、昔、管仲と鮑叔とが貧乏な時に結んだ堅い友情を、
此道今人棄如土。
此(こ)の道 今人(コンジン) 棄(す)つること 土の如し。
今の時代の人たちは土塊のように、打ち捨ててしまってる。嘆かわしいことだ。