【賢(ケン)を立つるに方(ホウ)無し】と訓読みされまして、賢者を挙げて用いるのに、その身分・貴賤などは一切問わない。賢く、徳のある人なら誰でも採用する。という四字熟語です。
『孟子』離婁(リロウ)章句下に出ています。
孟子曰
孟子曰く
孟子が言いました
禹惡旨酒而好善言。
禹(ウ)は旨酒(シシュ:美酒)を惡(にく)みて、善言を好(たの)しむ。。
夏の禹王は人の旨いという酒を(亡国の原因として)にくみ遠ざけ、
人のいやがる善言は(興国の良薬として)楽しんで聞かれた。
湯執中,立賢無方。
湯(トウ)は中を執(と)りて、賢を立つるに方(ホウ:つね)無し。
殷の湯王は中庸の道を固く守り、
賢者を採用するには貴賤・親疎を問わず、決まった順序などはなかった。
文王視民如傷,望道而未之見。
文王は民を視(み)ること傷(や)める(ものを痛む)が如く、
道を望むこと未だ之を見ざるが而(ごと)し。
周の文王は病人をあわれむように民をよくいたわり、
正しい道を仰ぎ望むことまだ見ぬものをあこがれ慕うように熱心であった。
武王不泄邇,不忘遠
武王は邇(ちか)きを泄(あなど)らず、遠きを忘れず。
周の武王は親近の者だからといって狎(な)れておろそかにせず、
疎遠の者だからといって忘れて顧みないということはなかった。