【葉(は)を庇(かば)いて枝(えだ)を傷(きず)つく】と訓讀みされまして、
葉を守って、枝を傷つけることから、末端のことに拘り、全體をだめにしてしまう例えを言います。
『史記』汲鄭(キュウテイ)列傳第六十の、汲黯(キュウアン)傳にでています。
汲黯は前漢第七代武帝に衣冠を正させた硬骨の大臣です。
かりに陛下が、匈奴の物資をお取り上げになり、それで天下の民にいたわりのお心を、
お示しになる、それはできないことといたしましても、法律のこまかな条文にひっかけて、
無知の民を五百餘人も殺されるとは、
是所謂庇其葉而傷其枝』者也
是れ謂う所の、其の葉を庇いて其の枝を傷つく者なり。
これがいわゆる、葉を大切にして枝を傷つける
と申すものです。
同義の四字熟語に
【矯角殺牛:キョウカクサツギュウ】 角を矯(た)めて牛を殺す。
【矯枉過直:キョウオウカチョク】 枉(まが)れるを矯(た)めて直(なお)きに過(す)ぐ。
があります。