火打ち石の火が発する光の中、という意味で、一瞬の間を表します。
白居易の『對酒:酒に対す』と題する七言絶句の2句目に【石火光中】が出ています。
蝸牛角上爭何事 蝸牛角上 何事をか争う
カタツムリの角の上のような狭い世界で何を争うのだ。
石火光中寄此身 石火光中 この身を寄す
一瞬の煌きのような人生に、身を寄せているのだ。
隨富隨貧且歡樂 富に随い貧に随いて且(しばら)く歓楽せん
富める者も貧しい者も、いましばらくは楽しもう。
不開口笑是痴人 口を開いて笑わざるは是痴人
大きな声で笑わないのは、バカだ。
『菜根譚』後集13条にも【石火光中】がでています
石火光中、争長競短。
石火光中、長を争い 短を競(きそ)う。
ほんの一瞬の人生、どっちが長いか短いか、何をクダランことを。
幾何光陰。
幾何(いくばく)の光陰ぞ。
どれほどの日月があるというのか。
蝸牛角上、較雌論雄。
蝸牛の角上、雌(シ)を較(くら)べ雄(ユウ)を論ず
カタツムリの角の上のような狭い場所で、買った負けたと騒いでる。
許大世界。
許大(いくばく)の世界ぞ。
どれほどの世界というのだ