【適も無く、莫も無し】と訓読みされます。『論語』里仁(リジン)篇にある言葉です。
公のことに関わる仕事をするときには
【好きだの嫌いだのと、主観を交えることをしてはいけない】と
孔子が言ってます。
【適、莫】は、親切と不親切、
善と悪、
好むことと憎むこと、
等々諸説あるようです。
【莫】の、艹と大は草むらを表しています。太陽(日)が草原に沈む様子から、「ひぐれ」の意味を
表していましたが、借りて(仮借用法)「ない」の意味に用いるようになりました。、
そのため、「ひぐれ」を表す字として「暮:ボ」を作りました。
ですから、「ひぐれ」を表すときには「ボ」と読み、「ない」を表すときには「バク」と読みます。
【莫】を含む形声文字に、「墓:ボ」、「幕:バク(漢音)・マク(呉音)」、「驀:バク」、
「膜:バク(漢音)・マク(呉音)」、「漠:バク(漢音)・マク(呉音)」、などがあります。
子曰、君子之於天下也、
子日く、君子の天下に於けるや、
孔子が言いました、立派な大人は、公のことに対処するに当たっては、
無適也。無莫也。
適も無く、莫(バク)も無し。
好きだの嫌いだのと、主観を交えることをしてはいけない。
義之與比。
義にのみ之(こ)れ与(とも)に比(した)しむ。
ただ只管(ひたすら)に、義(ただ)しいことにのみ対処するものだ。