【仁に里(お)るを美(よ)しと爲(な)す】と訓読みされまして、『論語』里仁篇の冒頭の四字熟語です。
古来、いろんな解釈がなされている章と言われています。
今になってみますと、誰も孔子の本当に言いたかったことは分からないのです。分かっていたなら、それで決まりですから、いろんな説が出るはずはありません。
どんな偉い先生の譯も、全てその先生の推察でしかないのです。ですからいろんな先生方の説をよく読んで、ご自分が一番うなずける解釈、それが正解だと思います。でもそれを他人に押し付けてはいけません。
私がすんなりと理解できた譯を示します。
子曰、里仁爲美。
子日く、仁に里るを美と為す。
孔子が言いました、人への思いやりをベースにするのは、
美しく立派なことである。
擇不處仁、焉得知。
択びて仁に処らずんば、焉んぞ知なるを得ん。
何かをするときに、まず人への思いやりをベースにして対処しなっかたら、
どうして智恵ある者と云えようか。